MACDとは【計算方法やトレードでの活用方法を、初心者にわかりやすく解説】

MACDとは、2本の移動平均線を用いることで、相場の周期とタイミングを捉える指標です。世界中で使用されており、非常にメジャーなインジケーターです。世界中で使用されているということは、それだけ多くのトレーダーの決済が集中して規則性が生じやすくなります。インジケーターはメジャーであるほど収益に繋がりやすい傾向にあるため、MACDとは何かを理解することは、皆様のトレードに役立つと考えます。そこでこのページでは、MACDについて正しい知識を身に付けてもらうことを目的として、その概要について解説します。

MACD: Moving Average Convergence Divergence (読み方:マックディー)

※直訳で「移動平均収束拡散手法」や「移動平均収束乖離手法」とも呼ばれることがあります。

 

【MACD】とは何か

MACD-開発者について

開発者ジェラルド・アペル(Gerald Appel)

 

MACDは何をしてくれるのか

移動平均線のゴールデンクロスとデットクロスを明確に判断することが可能で、トレンドの転換点を視覚的に捉えることを可能にしてくれます。

MACDとは、2本の移動平均線の差を示したMACDライン①と、そのMACDラインの移動平均線②(シグナルライン)、そして①と②の差を示すヒストグラムからなっています。

また、MACDに用いられる移動平均は単純移動平均(SMA)ではなく、指数平滑移動平均(EMA)です。

MACDは以下の計算式で算出されます。

MACDライン=短期EMA-長期EMA

シグナルライン=MACDラインの単純移動平均(SMA)

ヒストグラム=MACDライン-シグナルライン

インジケーターのデフォルトの設定では、長期EMAが26期間、短期EMAが12期間、シグナルが9期間であることが一般的です。

 

MACDの設定方法について

MT4チャートでは、「インディケーター」→「オシレーター」→「MACD」で挿入が可能です。

DMM FXのプレミアチャートでは、「テクニカル」→「オシレーター系」→「MACD」でMACDの使用が可能になります。

インジケーターのデフォルトの設定では、長期EMAが26期間、短期EMAが12期間、シグナルが9期間であることが一般的です。世界中のトレーダーと目線を合わせる意味で、設定値はデフォルトに揃える方が良いと考えています。

 

MACDの使い方

MACDラインとシグナルラインのクロス

MACDラインがシグナルラインを下から上に抜いた時に買いエントリー、上から下に抜いたときが売りエントリーとするトレードがあります。この交差はゼロラインから離れた地点、つまりより高い山での売りサイン、より深い谷での買いサインほど有効となります。そもそもMACDを確認しなくても、適切な規模のダブルトップ・ダブルボトムを形成すればトレンドの転換は自然と始まります。困難なのは、そのダブルトップ・ダブルボトムを、オンタイムで判断してトレードをすることです。「ここでトレンドは転換するのか」という疑問に対するトレーダー自身の解答に、根拠を持たせてくれるのがMACDだと考えています。

「MACDラインがシグナルラインを下から上に抜いたら買い」と「MACDラインがシグナルラインを上から下に抜いたら売り」の2つは、MACDを取り入れた手法の中のセオリーと言われ、前者をゴールデンクロス、後者をデッドクロスと言います。ただし、ゴールデンクロス及びデッドクロスでのエントリーで100%勝てるかと問われると、おそらく全勝は難しいと考えます。ゴールデン(デッド)クロスが出現した直後に反転してしまい、含み損や損切りとなるトレードもあるはずです。このように、ゴールデン(デッド)クロスのようなトレンドのスタートを判定するシグナルの弱点は、思惑どおりのトレンドと反対方向にレートが進んだ時に損失が生じることです。

ヒストグラムの活用方法①ゴールデンクロスとデッドクロスを明確にする

「ゴールデンクロス(及びデッドクロス)でエントリーする」としたとしても、クロスしているのかどうなのか不明確な場合があります。その時はヒストグラムに注目するとわかりやすくなります。上の図で示していますが、デッドクロスが起こると、ヒストグラムは中央(0)より下に転じます。またゴールデンクロスが起こると、ヒストグラムは中央(0)より上に転じます。

ヒストグラムの活用方法②トレンドの継続を可視化できる

上の図は下降トレンドから上昇トレンドへの反転を示しています。ヒストグラムの棒が、1本前の棒より長ければトレンドが継続していることを示し、短くなればトレンドが終焉に近づいていることを示します。チャートを見て、トレーダー個人が「今は下降トレンドだ」と認識したとしても、見る人が違えば認識にも違いが生まれます。しかしMACDのように世界中のトレーダーが使うインジケーターであり、かつデフォルトの設定値であれば、同じ目線でトレンドを認識するトレーダーが増える可能性があります。同じ目線のトレーダーが増えれば、それに比例してその方向にトレンドが伸びる可能性も上がることが期待できるため、ヒストグラムの棒でトレンドを判定する方法も有効だと考えます。

 

MACD及びシグナルラインがゼロラインとクロス

MACD及びシグナルラインがゼロラインとクロスすることも重要なサインとなります。2本の線がゼロラインを上抜いた時には上昇トレンドを意味し、ゼロを下抜いた場合は下落トレンドを意味します。

 

ダイバージェンス

ダイバージェンスとは、もともと「相違があること」という意味です。テクニカル分析では、相場のトレンドとテクニカル指標に相反する現象が見られることを言います。MACDでのダイバージェンスとは、相場が上昇トレンドにある時に、MACDラインが下降していることを示しているような場合を言います(上の図の○印)。ダイバージェンスは相場の転換を暗示するものとされており、MACDのダイバージェンスも相場の上限と下限の出現を示唆する可能性が高いサインとされています。

しかし、ダイバージェンスを安易にトレンドの転換と判断するのは危険だと考えます。ダイバージェンスは、前回高値の更新幅が小さい時に発生するものです。そのため、ダイバージェンスを転換点のサインと認識しながらも、「それまで続いたトレンドに勢いがなくなってきた」と理解する程度が良いかもしれません。

 

まとめ

MACDのメリットについて

・世界中のトレーダーが使用している。

・設定方法が簡単で、初心者にも安心である。

・トレンドの転換点を可視化することができる。

・トレンドが継続しているのかどうかを可視化することができる。

MACDのデメリットについて

・レンジ相場に弱い

デメリットへの対処方法

・他のインジケーターと併用する

MACD自体がトレンドの判定に特化したインジケーターのため、一定期間のトレンドが継続する相場状況では安定した収益を得られる可能性が高いです。しかし相場が安定せず、MACDでトレンド判定した瞬間に反転してしまうようなレンジ相場の場合は小刻みな損切りか含み損が生じます。その対策としてインジケーターの併用が推奨されますが、併用するパターンは2タイプあります。その2タイプを以下にまとめます。

①トレンド判定をする他のインジケーターを併用することで、判定の確度を高める。

②レートが反発する値を示すインジケーターを併用することで、エントリーポイント自体の優位性を高める。

インジケーターにはMACDの他、移動平均線等のトレンド系のものや、ZigZagにような高値と安値を明示してくれるインジケーターも多く存在します。この記事を読んだくれた皆様も、様々なインジケーターを試し、自身のトレードスタイルに適した組み合わせを探してみて下さい。