為替とは【初心者にわかりやすく解説】

よく「為替」という単語は聞きますが、その意味を説明できる人は意外と多くいません。為替とは「現金を使用せずに支払う方法」のことであり、「2国間の通貨ペアの両替比率」のことでもあります。このページでは、その為替の意味ついてを解説します。

為替とは①「現金を使用せずに支払う方法」である

為替とは「現金を使用せずに支払う方法」のことで、内国為替と外国為替の2種類が存在します。

この「為替」の歴史は古く、一般的に広がったのは江戸時代と言われています。「天下の台所」と呼ばれた大坂から江戸に商品を取り寄せる時、現金を直接やり取りする場合は盗賊等に襲撃される危険性がありました。そこで商人が考案したのが「為替」という仕組みです。この「為替」は現金を直接やり取りするのではなく、購入側(江戸の商人)が両替商に代金を渡して支払いを証明した「為替手形」を発行してもらい、その手形を受け取った販売側(大坂)が指定された両替商に手形を提出することで代金を受け取るようにしたものでした。今回の江戸時代のやり取りは、後述する「内国為替」にあたります。

江戸時代の為替手形と同様に、現金を使用せずに支払いをすることが為替本来の言葉の意味です。また、銀行振込みやクレジットカードでの支払いも為替の一種です。

 

内国為替と外国為替について

内国為替とは

まず、内国為替について解説します。

あなたが国内の企業から1個10万円の部品を10個購入したとします。この時あなたには10万円×10個=100万円の支払いが発生します。この場合あなたは利用している銀行に対して、購入先の企業が利用している銀行へ支払額の送金を依頼することになります。これが内国為替です。

また上記のような取引きのみでなく、公共料金の引き落としも内国為替です。

外国為替とは

次に外国為替について説明します(説明にはドル円を使用します)。

まず結論を簡潔にまとめると、外国為替とは「ふたつの異なる通貨を交換すること」です。

あなたが米国の企業から1個1,000ドルの部品を10個購入したとします。この時あなたには1,000ドル×10個=1万ドルの支払いが発生します。この場合あなたは利用している銀行に対して、購入先の企業が利用している銀行へ支払い額の送金を依頼することになります。

この時に為替レートが1ドル/100円だと想定した場合の支払い額は

購入費用1万ドル×100円(1ドル/100円)=100万円

となります。このように他国の通貨に変換して振り込みをすること(ふたつの異なる通貨を交換すること)を外国為替と呼びます。

以上が内国為替と外国為替です。

上記の説明のとおり、内国為替と外国為替は基本的なしくみが同じです。外国為替は支払先が海外であり、為替レートを使用して通貨を変換する作業が加わります。

 

為替とは②「2国間の両替比率」である

日々世界中の通貨は売買され、各通貨のレートは刻々と変化しています。そして、この為替レート「1ドル○○円」と示される両替比率を定めたものを為替と呼びます。ここでは「通貨がなぜ、どこで、誰に売買されているか」を解説します。

通貨はなぜ、売買されるのか

テレビのニュースで「今日の円相場は、、」という言葉を耳にすることがあると思います。しかしなぜ通貨の価値が上がったり下がったりするのか、実は多くの人がよくわかっていません。「円を売ってドルを買う」と聞きますが、誰がどこで何のために買ったり売ったりしているのかを疑問に持つ人もいると思います。

「誰が」という疑問の解答は、銀行・証券会社・ヘッジファンドです。そして「どこで」の疑問への解答は、「どこでもない」が正解です。外国為替市場は、すべて電話やネット回線を使用して売買されている「仮想空間に浮いたイメージ上の市場」です。(後述)

銀行や証券会社等の金融機関は、預かった資金を増やすことを企業活動の使命としています。そのため日々、自身が持つ通貨を「より安全で高価格な通貨」に交換することで為替差益を稼いでおり、これを「売買」と表現します。そのため「なぜ売買するのか」の解答は、「為替差益を得るため」となります(※より詳しく説明するとスワップポイント等もあります)。トレーダーと呼ばれる人達は、一見複雑なことをしていると思われがちです。しかし実際は、日々変動する通貨をチェックして、ある通貨を「安く買って高く売る」「高く売って安く買い戻す」を繰り返しており、その実態はとてもシンプルです。

 

外国為替市場(インターバンク)とは

外国為替市場とは「仮想空間に浮いたイメージ上の市場」です。そして外国為替市場とインターバンクは同じ意味です。

外国為替市場を解説する前に、まずは株式市場の説明をします。株取引をイメージすると、「東京証券取引所」を思い浮かべる人が多いと思います。株取引には明確な取引所があり、直接取引きできる時間帯は平日の朝9時から11時30分まで(前場)と、12時30分から15時まで(後場)となっています。この時間帯に東京証券取引所等の株式市場が開かれており、株価が動きます。

では次に、外国為替市場について説明します。株取引の場合と異なり、為替取引は銀行等の金融機関の間で「買いたい側」と「売りたい側」が連絡を取り合って取引きを行います。これをインターバンク市場と呼び、一般的にはこのインターバンク市場のことを外国為替市場と呼んでいます。特定の取引所が実在しているわけではなく、すべて電話やネット回線を使用して売買される「仮想空間に浮いたイメージ上の市場」です。外国為替市場(インターバンク)は世界中のあらゆる場所で24時間稼働しています。そのため為替市場は特に取引きが集中する都市の名前を取って、日本であれば「東京市場」、イギリスであれば「ロンドン市場」、アメリカであれば「ニューヨーク市場」と呼ばれることがあります。

 

 

変動する通貨の価値

インターバンク市場で取引きされているのはドルやユーロ、円だけではありません。ポンドや元等を含め数十種類が存在します。もそもなぜ価格が変動するのでしょうか。

通貨の価値を決めるのは、その通貨に対する「需要と供給」です。世界中で欲しいと思う人間が多い通貨は高くなり、その反対に大勢が手放せば安くなります。これはトレードだけでなく、私生活にも影響します。自国の通貨が高ければ海外旅行で様々なものが購入できますが、安ければあまり買えません。現在の日本は、多くの観光客が目立ちます。これは日本が好きだからでも、サービスが素晴らしいからでもありません。単純に日本が安いからです。通貨の高い国の人達が安い国に行って浪費をするのは、経済の原則だと考えています。

 

FXについて

この記事にたどり着いた読者の皆様は、FXに興味があるからこそ「為替とは何か」を調べていると思います。そこで、ここではFXについて簡単に解説します。尚、FXとは何かの詳細な解説は別ページの「FXとは【初心者にわかりやすく解説】」で行っていますので、是非ご覧下さい。(⇒FXとは【初心者にわかりやすく解説】)

FXとは

FXとは、常に価格が変動するドルやユーロ、円を売買する(ある通貨を安く買って高く売る、高く売って安く買い戻す)ことで、為替差益やスワップポイントを狙う投資です。トレーダー自身の証拠金(預け金)にレバレッジを掛けられることが特徴で、運用資金を大きくできる分、得られる収益も効率的に伸ばせる可能性があります。(※期待値と同等分のリスクを負うため、リスクの管理能力を必要とします)

FXの流れを簡単に説明すると、あなたが日本円10万円をFX口座に保有していたとして、米ドル1万通貨を購入したとします。本来米ドル1万通貨を保有するためには日本円で100万円が必要(1ドル/100円換算で、100円×1万ドル=100万円)となりますが、この時あなたは自身の証拠金(10万円)に10倍のレバレッジを掛けていることになります。購入している通貨量が、レバレッジを掛ける前と後では10倍違うため、得られる収益と失われる損失も10倍になります。リスクはもちろん高いですが、優秀なトレーダーであれば、レバレッジを有効に活用して圧倒的なスピードで資金を伸ばせる可能性があります。

※レバレッジの解説は「レバレッジとは【初心者にわかりやすく解説】」で行っています。レバレッジの計算方法についても具体例を挙げて説明をしていますので、是非ご覧ください。(⇒レバレッジとは【初心者にわかりやすく解説】)

 

FX業者とインターバンク市場の関係性について

FX業者は、金融機関内で取引きされているインターバンクと個人投資家を仲介する役割があります。インターバンクは金融機関しか参加できないため、FX業者が個人投資家の取引きを代行する役割を担っています。また、FX業者は連携金融機関が多ければ多いほど顧客に有利なレートを提示することが可能になります。これは同じタイミングでも金融機関によって提示している金額が異なり、連携金融機関が多ければ選択肢の幅も広がる為です。

まとめ

・為替には内国為替と外国為替があります

・内国為替と外国為替に大きな違いはなく、外国為替は異なる通貨を交換する取引きを示します。

・FXとは、通貨の価格変動を利用して為替差益とスワップポイントを狙うものです。

・外国為替市場にはリアルな取引所は存在しません。すべて電話や通信回線を使用して売買されている仮想空間上の市場です。

・FX会社は連携金融機関が多ければ多いほど顧客に有利なレートを提示することが可能です。これは同じタイミングでも金融機関によって提示している金額が異なり、連携金融機関が多ければ選択肢の幅も広がる為です。