円安・円高とは【初心者にわかりやすく解説】

よく「円安」「円高」と耳にしますが、結局どんな意味があるのかわからない人も意外と多いと思います。「1ドル/100円」から「1ドル/110円」になることは、円高ではなく円安になったことを示します。ここでは円高と円安の考え方と、円高・円安が経済にもたらす影響についてを解説します。

円安・円高とは

「円安・円高」とは、ある通貨と比較して円の価値が上がることを「円高」、円の価値が下がることを「円安」と言います。為替というのは2つの通貨の交換レートのため、一方の価値が上がれば相対的にもう一方の価値は下がります。そのためドル円の相場を表す場合に「円安ドル高」「円高ドル安」はあっても「円高ドル高」「円安ドル安」はありません。

円安と円高の意味

「1ドル/100円」→「1ドル/110円」

この数字だけ見ると、「1ドルが100円から110円に上がったのだから円高」と思うかもしれませんが、答えは「円安」です。なんとなく紛らわしいですが、コツは「何が高くなって、何が安くなったのか」をイメージすることです。この「何が」という主語に注目すれば、理解が容易になります。

1ドル/100円が1ドル/110円になった場合を解説します。

ここでは1ドル/100円の表記を「1ドルが100円」と読みます。

重要なのは「1ドルが」と主語を明確にすることです。

この場合は1ドルが110円へと10円高くなったので、これは「ドル高」です。為替は2つの通貨の交換レートのため、一方の価値が上がれば相対的にもう一方の価値は下がります。

そのためドルが高くなれば円は安くなり、「1ドル/100円」→「1ドル/110円」は円安ドル高となります。

では逆に、1ドル/100円が1ドル/90円になった場合はどうでしょうか。この場合は1ドルが90円に安くなったため、「ドル安」です。「ドル安」ということは、相対的に円が高くなるため「円高ドル安」になります。

実際のチャートでは円安と円高を把握する方法

実際のトレードで使用するMT4チャートを使用して円安・円高を見てみます。下のチャートは、2020年3月16日11:00から3月20日15:00までのドル円1時間足です。

FXのチャートは、ドル円であれば横軸が時間を表し、縦軸は1ドルあたりの円の価格を表しています。そのためこのチャートは縦軸の価格が上昇すると、円安に傾いていることを示します。反対に、チャートの縦軸の価格が下降すると、円高に傾いていることを示します。

上のチャートでは、3月16日11:00の時点でドル/円のレートが105.295だったのに対して、3月20日15:00の時点で111.300まで上昇しました。この期間の値動きは1ドル/105.295円から111.300円まで上昇しているため、円安に傾いたことがわかります。

通貨ペアとチャートの波形から高安を判定する方法

FXを始めると、ドル円以外の通貨ペアでもトレードをする機会が増えます。ドル円のチャートでは、レートが上に行けば円安で、下に行けば円高でした。では、ユーロドルやポンド円、ポンドフラン等はどうなるでしょうか。

これらはコツを覚えれば簡単です。覚え方は、「各通貨ペアの前側の通貨(下の図で赤○の通貨)の価格が上がっていればその通貨が高く、下がっていれば安い」です。

・ドル円チャートが上がっていればドル高円安。

・ユーロドルチャートが上がっていればユーロ高ドル安。

・ポンド円チャートが下がっていればポンド安円高。

・ポンドフランチャートが下がっていればポンド安フラン高。

様々な通貨ペアがありますが、見方は同じです。

円安・円高が日本経済に与える影響について

円安に傾いた場合の日本経済について

円安に傾いた場合、円高時と比較して同じ商品や原材料を輸入する場合でも仕入価格が上昇するため、輸入型企業にとっては逆風となります。

一方、輸出型企業にとっては同じ売上高だったとしても円での受け取り代金が大きくなるため追い風になります。

例:100万ドルの収益を得た場合の円の受け取り代金について

①1ドル100円の場合

100万ドル×100円=1億円

②1ドル110円の場合(①より円安側に傾いた場合)

100万ドル×110円=1億1000万円

このようにドルで同じ収益だとしても、円安に傾くことが輸出型企業にとってプラスの要素となります。代表例を挙げるのであればトヨタ自動車等の大手自動車メーカーは海外での売り上げが大きいので、円安は追い風となって業績がアップします(反対に円高では業績はダウンします)。

また円安の場合、観光業は他国からの旅行者側にとって有利に働きます。日本に来た外国人観光客は観光地のホテルに泊まってお土産を買うため、観光業が潤います。しかし一方、日本人が海外旅行に行く場合は不利に働きます。

円高に傾いた場合の日本経済について

円高に傾いた場合は、円安時と比較して同じ商品や原材料を輸入する場合でも仕入価格が低下するため、輸入型企業にとっては追い風となります。そのため海外で製造を行っている企業や原材料を輸入している企業が恩恵を受けます。一方、海外での売り上げが大きい企業は同じ売上高だとしても円での受け取り代金が減るため、業績はダウンします。

また円高の場合、観光業は他国からの旅行者側にとって不利に働きます。外国人観光客が減少することで観光業の売上げは減少します。しかし一方、日本人が海外旅行に行く場合は有利に働きます。