FXには、他の投資で利用されない専門用語「Pips(ピプス・ピップス)」があります。実際のところ、このpipsにはどんな意味があり、どのように計算すればいいのかを理解せずにFXトレードを行う人が多いです。この記事では、Pipsについて「なんとなく理解しているつもりだった」という人でもしっかり学べる内容となっています。Pipsを理解して、FXトレーダーとしての確かな一歩を踏み出すことができよう、是非ご覧下さい。
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Pips(ピプス・ピップス)とは
pipsとは、「為替レート変動の最小単位」のことです。ドル円やユーロドルをはじめ、全ての為替相場が変動する時に、その変動値を表す用語です。主にFX取引のみで利用されています。pipsという言葉は「Percentage in points」を略した用語であり、読み方は「ピプス、ピップス」と呼ばれています。「Percentage in points」の直訳は「ポイントの百分率」にあたり、ここでは「通貨の最小単位の百分率」を意味します。そのため日本の場合は、通貨の最小単位が1円のため、1円×100分の1で0.01円となります。日本には「銭」という通貨単位もあります。これは昭和初期まで現金単位として活用されていましたが、現在の使用は金融為替分野に限定されています。1銭=0.01円のため、1pips=1銭であることに間違いはありません。
会話や文章でのpipsの使い方は「今日のドル円相場では50pipsの値動きがあった」「毎日のトレードで50pipsを獲ることが目標」等の為替動向やトレード結果を表すときによく使われます。
FXでpipsを使用する理由
FXでpipsを使う主な理由は、異なる通貨ペアの値動きやスプレッド(買値と売値の差)を共通した単位で表すことが可能となり、客観的に取引き結果を判断できるようになるためです。FXでは、証拠金にレバレッジを掛けることで、通貨の購入量を、自身の証拠金で購入可能な通貨量以上に設定することが可能です。そのため「今月は10万円の収益でした」と申告したトレーダーがいたとして、そのトレーダーは「10万ドル購入して100pipsを獲得し、10万円を得た※」のか、「100万ドル購入して10pipsを獲得し、10万円得た※」のかはわかりません。為替差益を狙ったトレードをする中で、どの程度の値幅を獲得したかを示すのがpipsであり、FXトレーダーは多くの場面でpipsを用いることになります。
※10万ドル購入して100pipsを獲得し、10万円を得たケースの計算式(1ドル/100円換算)
1円(100pips)×10万ドル=10万円
※100万ドル購入して10pipsを獲得し、10万円を得たケースの計算式(1ドル/100円換算)
0.1円(10pips)×100万ドル=10万円
FXトレーダーとしての運用成績を開示する場合は、利益額ではなく獲得したpips数で記録すると、トレーダーとしての信頼度は高まります。
円建て・ドル建てによるpipsの表記方法の違いについて
円建ての通貨ペアによるpipsの表記方法
日本人のFXトレーダーにとってもっとも馴染みの深い通貨ペアがドル円ですが、ドル円・ユーロ円・豪ドル円等の円建ての通貨ペアはpipsの計算が同じです。
1pips=0.01円となりますが、「0.01円=1銭」なので「1pips=1銭」と覚えることも可能です。
ドル建ての通貨ペアによるpipsの表記方法
円建てに続いて、世界中のFXトレーダーに使用されている通貨ペアがユーロ/ドルに代表されるドル建ての通貨ペアです。
ドルの最小通貨単位はセントのため、1セントの百分率0.01セントが1pipsとなります。そして1ドル=100セントのため、1pips=0.0001ドルとなります。
FXトレードは、大まかに「円建て」と「ドル建て」の2種類に分けられます。円建ての場合は「小数点第二位の値」が1pipsになり、ドル建ての場合は「小数点第四位の値」が1pipsとなることを理解しておきましょう。
取引き損益額の計算方法について
次に取引き損益額の計算方法について説明します。
各トレードにおける取引き損益額は、下記の計算式で算出することが可能です。
ドル円での取引き損益額の計算例
ドル/円を105.50で10万ドル分の買いポジションを持ち、105.50円から106.00円に動いた場合、50pips分の為替差益を獲得したことになります。この場合、取引き損益額は下記の計算式で算出されます。
10万ドル×0.5円(50pips)=50,000円
ユーロドルでの取引き損益額の計算例
続いて、ユーロドルを例にpipsの動き方と価格変動について確認していきましょう。ユーロ/ドルの場合、ドル建てでの計算方法となるので、「小数点第四位の値」が1pipsとなります。
ユーロ/ドルが1.12500ドルで10万通貨分の買いポジションを持ち、その後1.13000ドルに動いた場合、50pips分の為替差益を獲得したことになります。決済時のドル円のレートが106.0円であった場合、取引き損益額は下記の計算式で算出されます。
10万ドル×0.005ドル×106.0円=53,000円
ドル建てと円建ての違いは、最後にドル円レートを掛ける点にあります。何ドルの為替損益が発生したかを算出した後、決済時のドル円レートを掛けて日本円に変換しています。
pipsを計算する上で注意すべき点について
「pips」の意味から、計算方法までを紹介してきました。pipsを用いると、どの通貨ペアに対しても簡単に損益の計算ができることが最大のメリットです。しかし一方で、pipsを利用したFXトレードには注意点も含まれています。ここでは、pipsを利用したFXトレードの注意点を紹介していきます。
業者によってロット数が違う
様々な教材やサイトにおいて、損益額の計算式を「損益額=ロット数×pips」と説明しているのが見受けられます。この「ロット数」とは1ロットが10,000通貨であったり、1,000通貨であったり、証券会社によって異なります。「1ロットが1,000ドルだと思って取引きしたところ、実は1ロット10,000ドルで、想定外に大きなポジションを持ってしまった」という事故も発生しています。損益額の計算でも同様に、「ロット数」で覚えてしまった場合、そのロット数が違う証券会社に切り替えた段階で混乱が生じる可能性があります。そのため当サイトでは、損益計算をはじめとして購入量を文章化する時、必ず「ロット」ではなく「通貨量」を用いて説明しています。この記事を読んで頂いた皆様には、「ロット数」ではなく「通貨量」で把握するように推奨したいです。
まとめ
FXにおいてまず理解しておくべきpipsという用語を解説しました。pipsはFX初心者にとって聞き慣れない用語ですが、トレードをする上で避けては通れない用語です。また、各通貨によるpipsの違いや利益額の違いを理解するには、実際に取引きをしてみることが近道だと考えます。もしFXに興味があるのであれば、まずは無料で試せるデモトレードや、少額でのトレードを推奨します。自身の性格や生活スタイルを含めたトレード手法・トレードスタイルを構築するまでは、大きな資金でのトレードは避け、まずは堅実に収益を伸ばすことを目指しましょう。